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6.5人に1人が貧困、の意味するもの

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 鳩山政権の長妻厚労大臣が、2007年の日本の相対的貧困率(114万円以下の所得の人の割合)が6.5人に1人だったと発表した。先進国の中でも、メキシコ、トルコ、米国に次いで高い割合だそうな。

 一橋大学経済研究所の小塩教授の解説によると、派遣労働者などに代表される非正規雇用の割合が増えたことが主な原因らしい。日本が資本主義国家である以上、格差があるのは当然だが、責任ある人たちがまず正しく現状認識をする必要がある。

 現在の格差社会を生み出したといわれる小泉・竹中路線の竹中平蔵氏がつい最近も「日本で格差は広がっていない」と強調していたが、今回の数字を見てしっかりと現状を認識してほしい。

 派遣事業法というのは、もともと通訳者やプログラマーなどの専門職種を対象にしたものだった。このような専門家にとっては、ひとつの会社に縛られるより、多様な場面で自分の専門をよりよく活かせる生活スタイルのほうがふさわしい、という考えがあったのだろう。

 ところが、2003年になって製造業という単純労働に派遣が解禁されると事情が違ってくる。本来労働者のための法律であった派遣事業法が、手軽で切りやすい労働力を供給してくれる、雇用者側の便利なツールと化してしまった。

 繁忙期には単純労働力を集められるだけ集め、暇になったら「ハイおさらば」ということが簡単にできる、企業に都合のいい仕組みを作ったのが、小泉・竹中路線というわけだ。これにより確かに企業の業績は向上し、戦後最長の好景気を実現したのだろうが、労働者の賃金が頭打ちで誰も好景気を実感できなかったのはご存知のとおり(経団連、よく聞いておけ)。

 このような事情を踏まえて、単純労働の派遣を禁止すべきとの声が高まっているが、私見を言えば、問題は単純労働の派遣そのものにあるのではなく、雇用者と労働者間の極端な不公平さにあるのではないかと思っている。労働契約において、雇用者と労働者は本来対等であるべきなのに。

 世の中には、一つ所に留まるのが苦手な人が少なからず存在する。派遣労働者という生活スタイルが性に合う人もいるだろう。そういう意味では、労働スタイルも多様であるほうが好ましい。

 しかし現状は、ほとんどの派遣労働者が望まない形での派遣労働を強いられている。生きるため、生活のため、否応なしに派遣業者の提示する条件を飲まざるを得ない、言い方を変えれば、派遣労働者は足元を見られているのである。

 そういう意味では、単純労働の派遣を禁止する前に、失業時に生活の心配をしなくても済むだけの十分な保障を与えるなど、派遣労働者の権利を向上させる必要がある。足元を見られている、と感じたら無理に契約しなくても済むくらいの余裕が労働者に与えられれば、派遣業者も好条件を提示せざるを得なくなるのではないだろうか。

 翻って自分のようなフリーランスの職種を考えた場合、事情は派遣労働者とあまり変わらない。ほとんどのフリーランス翻訳者は受注単価を取り決めているだけで、受注量が契約で確保されているわけではないので、仕事がなくなれば即失業状態になる。何の保障もないフリーランサーは失業状態では生きてゆけないので、新たな受注を求めて契約先を探すことになるが、ここで派遣労働者と同様に相手に足元を見られてもほとんど抵抗するすべがない。

 このようにして、ほとんどの翻訳者は不満足な単価で受注せざるを得なくなり、業界全体で単価が抑えられる、というのが一般的な図式である。翻訳者側の売り手市場になるなどまず考えられない(優秀な翻訳者は希少価値があって常に求められている、などという妄想は信じないこと)。

 フリーランサーと派遣労働者の主な違いは、多くの派遣労働者が望まずしてその地位に甘んじているのに対し、ほとんどのフリーランサーは自分の意志でフリーに転向した、いわば自己責任でその道を選んだ、ということである。

 そこで我々フリーランサーは、行政や政治にすがることなく自己防衛する必要がある。

 自分などは、たとえ生活が苦しくても納得しない単価では受注しない。武士は食わねど...の精神である(妻と子供のために下げたくない頭を下げるのもそれはそれで立派だ)。

 こんなやせ我慢ができるのも、翻訳以外の収入の道を何とか確保しているからだが、翻訳者に限らず、自営業者は複数の収入源を確保することが自己防衛の最善の手段であることを忘れずにいてほしい。

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このページは、管理人が2009年10月21日 12:56に書いたブログ記事です。

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